クルマの基本!オイル交換の大切さ

こんにちは!大人になってからあなたに訪れる、となりの整備士まあきです。

初のマイカーを手に入れたけれど、

「長く乗り続けるにはどうしたら良いんだ?メンテナンスってなあに?」と思っている方も多いのではないでしょうか。

本日は、車のメンテナンスの基本であり、最も重要な事とも言えるエンジンオイル交換について分かりやすく説明してまいります。

エンジンオイルって?

エンジンを動かして走る車は燃料(ガソリンや軽油)を入れれば走ります。燃料は走れば走るほど減っていき、なくなれば車は動かなくなってしまいます。

ガソリンは人間界で例えると水や食料。人間は飲み食いすることでエネルギーが出て、時間が経つとまたお腹が減ります。車も同じで、走れば走るほどガソリンはどんどん消費されていきます。

ではエンジンオイルは何なのでしょう。人間で言うところの血液です。

人間に血が無くなくなれば生きていけないように、エンジンオイルの入っていないエンジンは動かなくなってしまいます。そしてオイルが入っていても、エンジンが動けば動くほどオイルは汚くなり、ドロドロになっていきます。

放置しておくとエンジンの健康状態はどんどん悪化していき、まだまだ走れたはずの車の寿命が極端に短くなってしまいます。

人間は自分で新しい血を作り出すことができますが、機械にはできません。なので定期的にエンジンの血液をキレイなもの交換してあげる必要があるのです。これがオイル交換の重要な理由。

金属の塊がとんでもないパワーとスピードで動く構造上、熱や衝撃サビや摩擦は必ず生まれてしまいます。これらはエンジンにとって大ダメージを与える要素であり、大敵です。

そんなエンジンの弱点を補ってくれるのがエンジンオイル。

エンジンオイルの主な役割は4つあります。

  1. エンジンの動きをなめらかにする(減摩)
  2. 動いて熱くなったエンジンを冷やす(冷却)
  3. エンジン内の衝撃を和らげる(緩衝)
  4. エンジン内部のサビ防止(防錆)

オイルと聞けば錆止めや滑りを良くするのは想像できますが、冷却や衝撃吸収までも担っているのです。たかが油であるエンジンオイルですが、管理を侮ってしまっては簡単に車を潰してしまいかねない。

逆を言えば、エンジンオイル交換を怠らず、マメに管理しているオーナーさんの車は往々にして寿命が長いです。これはどの整備士に聞いても同じ答えが返ってくるはずです。

いつ交換すればいいのか

エンジンオイルの役割の重要さは分かっていただけたはずです。では、交換のタイミングはいつなのでしょうか。

結論、車種や乗る頻度、距離によって異なります。が、目安となる距離や時期はありますので安心してください。

基本的には車の取扱説明書の後ろの方のページに『サービスデータ』という目次があり、そこにメーカー推奨のオイルの種類や交換時期の目安が載っています。説明書に「()内はシビアコンディション」のような注釈がある場合は、シビアコンディションに従うことをお勧めします。理由は後ほど。

基本的にはそれに従えば良いのですが、説明書をなくされた方や、中古車を購入した方は説明書がついていないこともありますよね。なので整備士の目線からそれぞれのおすすめ時期を紹介します。

  • ハイブリッド車(軽自動車ハイブリッドを除く)=10000kmもしくは1年毎(どちらか早い方)
  • 軽自動車を含むターボエンジンではない(自然吸気)ガソリン及びディーゼル(軽油)車=5000kmもしくは1年毎(どちらか早い方)
  • 軽自動車を含むターボ車(過給機付き)ガソリン及びディーゼル(軽油)車=3000kmもしくは1年毎(どちらか早い方)
  • ターボエンジンではないハイブリッド軽自動車=5000kmもしくは1年毎(どちらか早い方)
  • ターボ付きハイブリッド軽自動車=3000kmもしくは1年毎(どちらか早い方)

えーー、車によってこんなに変わるの?

自分の車がどれに入るのか分からんし、調べるのも億劫、、という方は何も考えずに3000km毎に交換しましょう。車にとって早めのオイル交換にデメリットはありません。

とは言ってもオイル交換には数千円のお金がかかるものなので、お財布事情が気になる方は愛車がどれに該当するのか知っておいて損はないでしょう。

なぜ車の仕様によって交換時期の目安が異なるのかを解説していきます。

ハイブリッド車

ハイブリッドとはもともと「2つのものをかけ合わせた」という意味があります。

自動車におけるハイブリッドとは「エンジン×モーター」。ガソリンを燃料とするエンジンだけではなく電気で動くモーターも使って車を動かそうではないか!そうすればエンジンへの負担も減る。燃費は良くなるし、排気ガスも少なくなって環境にも優しいじゃーん。ってことで賢いエンジニアの方たちが開発されたのです。

モーターとエンジンの両方のパワーで車を動かしているので、当然エンジンが動いている時間は短いです。トヨタのプリウスなんかが排気音や振動を一切出さずに「シューン」と走っているの、見たことありませんか? あのときエンジンは止まっており、モーターだけで車は動いています。

また、エンジンが動いている間も、モーターの力を借りられるためエンジンにかかる負担は普通のガソリン車に比べると圧倒的に少ないと言えるでしょう。

なのでオイル交換のスパンも長めで問題ないという結論。5000km毎に交換される方もいらっしゃるのですが、作業していて感じるのは5000km走行程度ではエンジンオイルの汚れは少ないことがほとんどです。10000km毎の交換で充分だと感じます。

また、オイルフィルターに関しては20000km毎の交換で良いでしょう。

普通車のハイブリッドであれば、外観でどこかにハイブリッドを表すロゴが書かれているはずなのでハイブリッドであるかどうかは比較的簡単に見分けられます。普通車の場合、どのメーカーであれ「Hybrid」のエンブレムがボディーに貼り付けられていればほぼ間違いなくハイブリッド車です。

代表的な各メーカーのハイブリッドシステム表記

  • トヨタ=HEV、Hybrid Synergy Drive等
  • ホンダ=e-HEV等
  • 日産=e-power等 注意:s-Hybridは本格的なハイブリッドではないため除く
  • スバル=e-Boxer
  • マツダ=現在本格的なハイブリッド車は無し
  • レクサス=Hybrid(表記がないものも有)

スズキ、ダイハツは軽自動車が主流のため割愛。今のところ代表的なフルハイブリッド車はなさそうです。

・ガソリン及びディーゼル車、軽自動車(ターボ無)

エンジンのパワーで車を動かす、いわゆる普通の車。

それぞれのメーカーや車種によってパワーを重視、スピードを重視、燃費を重視していたりと、エンジン性能にそれぞれ差はあるものの構造自体は基本的に同じだと考えてもらって大丈夫です。

スポーツカーなど特殊な車種を除いて、どのメーカーでも多くの大衆車のエンジンはバランスよく作られていることがほとんどです。よって、どのメーカーでもサービスデータには「10000km(シビアコンディション5000km)毎のエンジンオイル交換」と書かれている事が多いです。

これらのエンジンオイル交換をする際に感じるのは、5000kmあたりでエンジンオイルは汚れが目立ちはじめる印象。

10000kmで交換される方もいらっしゃいますが、汚れがかなりひどいです。整備士としては「ドロドロの血のまま結構頑張ったね」と思ってしまいます。なので愛車を労って5000km毎の交換をおすすめします。

なお、オイルフィルターは10000km毎の交換が良いでしょう。

シビアコンディションの説明ですよね、分かっています笑 もう少々お待ちを。

・ガソリン及びディーゼル車、軽自動車(ターボ付)

エンジンのパワーで車を動かすのはターボが付いていないものと同じですが、事情が少々異なります。

ターボエンジンとは日本語で過給機付きエンジン。ターボシステムという画期的なシステムで、もともとエンジンに備わっているパワーを最大限引き出そうという試み。

イメージとしては追い風で走るマラソンランナー。ランナーの脚力にプラスアルファ追い風の力を与えてスピードとパワーアップ!という感じです。

ターボシステムの詳細については別ページで解説を予定していますのでお楽しみに。

追い風で走るとランナーは早く走れるかもしれませんが、その分実際に足にかかる負担も大きくなるのは想像できるでしょう。ターボ付きエンジンにも同じような影響があります。

エンジン以外からの力でパワーがアップした分、エンジン本体には負荷が大きくなります。頑張って動かなきゃだめになるわけです。頑張って動けば動くほど、エンジンオイルの劣化も早まります。

なのでターボ車は早めの交換が必要になるわけです。多くの場合、サービスデータには「5000〜6000km(シビアコンディション2500km〜3000km毎)の交換」と記載されています。

5000km交換の場合ドロドロとまではいきませんが、ターボなし車に比べてオイルの汚れは著しいものになっています。また、ターボ車は構造上、オイル管理が特に寿命を左右します。

ターボ車を乗られる方は迷わず3000km毎の交換が得策でしょう。

オイルフィルターは早めの交換で6000km、遅くとも9000km毎には交換すべきでしょう。

シビアコンディション

結論を言うと、いち整備士目線では日本の道路を走る車は全てシビアコンディションであると考えています。

ではシビアコンディションって何なのでしょうか。

和訳すると、、

・Severe(シビア):過酷な、厳しい

・Condition(コンディション):状態

パッとイメージできるのは、砂利道や山道、急な坂道など目に見えて過酷な場所。もちろんこう言った道を多く走る車はシビアコンディションに含まれます。

寒い地域や暑い地域も、環境としては過酷であると言えるでしょう。

しかしこう言った目に見える環境以外でも過酷な環境は存在します。

1つ目は走行距離が長い車。旅行や遠出を沢山される方は必然的に年間の走行距離が伸びていきます。沢山走る車の部品が傷みやすいのは想像できます。

反対に一度の走行距離が短すぎる車もエンジンに負担がかかります。エンジンが暖まるまでに止めて、またエンジンをかける。郵便配達のような使い方をされている車が代表的な例です。いつも近所のスーパーまでにしか車を乗らないと言う方も該当するでしょう。エンジンが暖まっていない状態というのは車にとって負担が大きいのです。

最後は低速走行が多い車やアイドリング状態(エンジンはかかっているけど車は止まっている)が多い車。渋滞にハマってしまった状態が良い例ですね。この時も車にとっては負担が大きくなります。

これらを踏まえると、交通量も多く、信号や渋滞が多い日本。夏は暑くなり冬はよく冷える。基本的に全ての車は走って止まってを短い時間に沢山繰り返していることでしょう。なので日本の道路を走る車は環境面も踏まえ、全てシビアコンディションであると考えるべきなのです。

オイルフィルターとは

先程までの解説でオイルフィルターの交換時期の目安も合わせて書かせていただきました。オイルフィルターってなんやねーん。

言葉どおり、エンジンオイルに溜まるゴミ(スラッジ)をフィルターを使って濾すためのものです。

水道なんかについている浄水器のようなイメージ。

エンジンには、カーボンや酸化物などの汚れがどうしても発生してしまいます。エンジン内部に入っているエンジンオイルに、それらの不純物が混ざってしまうのは避けられません。エンジンオイルをこまめに交換していても汚れの発生自体を0にすることはできません。ここで登場するのがオイルフィルター。

汚れが含まれたエンジンオイルをエンジン内部に送り込む前の段階でフィルターにかけてやれば、きれいなオイルがエンジンに行ってくれるではないか!というごく普通っぽい画期的なアイデアです。

フィルターなのでもちろん汚れていきます。いくらオイル交換をまめにしていてもフィルターに小さなゴミは蓄積していってしまいます。なのであわせて交換が必要なものになります。

とは言っても毎回交換が必要なわけではありません。

エンジンオイルの交換をきっちり行っていることを前提として、フィルター交換はオイル交換2回に1回が覚えやすく、妥当な交換時期であると言えます。

まとめ

愛車にとってエンジンオイルの管理は、最も重要なことの1つです。

エンジンオイルには、エンジンそのものを内部から守る役割があり、元気よく動いてもらうために必要不可欠な存在。

エンジンオイルは我々人間でいう血液なんだ、というイメージを持っていただければ定期交換の大切さを感じられるはずです。

エンジンの健康寿命を長くするためにも愛車の適切な交換時期を確認して、メンテナンスの基本であるオイル交換をしていきましょう!

メンテナンスをきっちりしてあげることで、愛車もどんどんかわいくなっていくものです。

それではまたっ!

この記事を書いた人 Wrote this article

まあき 自動車整備士 / 男性

車の性能よりも見た目デザイン重視の整備士っぽくない整備士。 カナダの短大でメカニック2年コースを卒業。その後日本に戻り、街の整備工場で働きながら3級整備士を取得。現在2級整備士資格取得に向け準備中。 仕事のモットー:分かりやすい整備説明。 乗りたい車:日産セドリックY30 愛車:ダイハツ ミラジーノL700s(17万KM超)、カワサキW650 趣味:サーフィン、ギター、DIYなどなど

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